O-180
奥行き180cmのO-180は、スタインウェイの「スモールグランド」の中で最大のモデルです。豊かな音を追求する方々に満足していただける大きさでありながら、ほとんどのご家庭に収まるサイズです。
“スタインウェイピアノの卓越性により、あらゆる音楽的情感を
余すところなく表現することができます。”ダニエル・バレンボイム
スタインウェイ アーティスト
仕様およびデザイン
サイズ/重量
奥行:180cm
横幅:146.5cm
重量:約286kg
支柱
20,528㎤の3本のスプルース無垢材支柱。スプルース材は、軽量ながらも優れた伸張強度を発揮します。メープル材のダボで支柱をリムに留めることにより、音の響き全体を生み出す、ひと固まりの基盤が築かれます。スタインウェイ&サンズでは、鉄のくさびで支柱の端を奥框にしっかりと固定し、永久的にリムの位置を保ちます。
スケール(弦の配置)
交差弦、混合アグラフ、前方および後方のデュープレックス構造。
張力: 19,000kg
響棒
響棒には耐久性に優れた樹脂を含むサトウマツが使用され、響板の上に張られる弦を常に強力にサポートしています。響棒の端は手作業でカッティングされます。
チューニングピン
最高級ブルースチール、防サビ・ニッケル加工のヘッド
弦
高音弦:高張力のスウェーデン鋼を使用した10本の全弦と1本の半弦。
低音弦:スウェーデン鋼の芯線に純銅を巻きつけた低音弦。
最長:アグラフ/ブリッジ(駒):137cm
ハンマー
防虫・防湿加工を施した、プレミアムウールのトップフェルトとアンダーフェルト。圧縮ワイヤーで永久に形をキープ。堅木メープルを使用したハンマー成形およびシャンク。
ダンパー
横方向にカットされたプレミアムウールを使用し、より効果的なダンパーを実現。メープル材のヘッドで耐久性を向上。
鍵盤
ヨーロッパ産スプルース。鍵盤ごとに重量バランスを計測。欠けにくく、汚れにくい白鍵。滑りにくい黒鍵。最長の鍵盤:48.3cm。
棚板
柾目スプルースの厚板を使用。横方向と縦方向のバーチの厚板が、湿気を逃す通気システムの役割を果たします。棚板の反りと逆方向に反ったアクションフレームを密着させることにより、鍵盤の動きを安定させ、演奏中の「ばたつき」を防ぎます。大きなメープル材のダボが埋め込まれた棚板は、タッチを制御する調節可能な真鍮製ねじ(ベッティングスクリュー)を支えるしっかりとした土台となっています。厚さ:4.45cm。
ペダル
真鍮製。
ソフトペダル(ウナコルダ)、ソステヌートペダル、ダンパーペダル。
厚さ約7cmの長いリム板を曲げて一体成形する工法は、ピアノ製造の上で最も重要な技術革新のひとつとされます。このリムが、スタインウェイのグランドピアノの一台一台に美しさ、安定感、確かな品質を与えています。スタインウェイO-180は13層もの堅木メープルを重ね、アウターリムとインナーリムを同時に一度でプレス加工する方法を採用。この製法によって、ピアノが構造的に一体化され、世代から世代へと受け継がれるスタインウェイの耐久性を実現しているのです。このユニークなリム工法は、スタインウェイ&サンズが1878年に開発・特許取得して以来、すべてのスタインウェイグランドピアノに採用されている重要なものです。
響板は、スタインウェイグランドピアノ、またはアップライトピアノの心臓部にあたるものです。そのため、設計面でも木材の選定の面でも細心の注意が必要となります。最高品質基準に見合うよう、木目が揃い、年輪が最低基準数に達している最高級シトカスプルースのみを使用しています。スタインウェイの振動膜の原理にのっとった響板の製造は、ppからffまでのダイナミックレンジの広さと音の伸びを最大限に可能にする1936年に取得した特許に基づいています。響板を中心から端に向かって徐々に薄くすることで最大限の柔軟性を持たせ、比類なき豊かな音色、響き、伸びのある音を実現しています。
バイオリンの響板と同じく、音域全体を通して自由で均一なレスポンスを与えるため、スタインウェイO-180の響板は、中央が9mm、リムとボディーに近い部分は6mmの厚さで、両端が薄いクラウン形状となっています。この設計により、完全に自由な動きを可能にすると同時に、より多くの空気を振動させることができ、豊かで余韻の長い音を生み出しています。響板には、木目の細かい柾目のシトカスプルース(圧力や振動に対する類稀な安定性と対応力を持つ)のみを使用しています。
素材が上質であればあるほど、音が良くなります。スタインウェイ&サンズの響板ブリッジは、横方向の木目を持つ木材を垂直に重ね合わせ、メープル無垢材でキャップを施しています。正確にそれぞれの弦に対応するよう、各ブリッジには手作業で切り目を入れています。この設計によって、弦から響板への音の伝達が最大限になり、伸びやかに共鳴する音が生まれます。これが、比類なきスタインウェイサウンドなのです。1963年、スタインウェイはヘキサグリップ ピンブロックを考案。これにより、調律の精度を高め、調律した状態を長く保持することが可能となりました。
特許を取得したヘキサグリップ設計は、柾目の堅木メープルとブビンガを6枚重ねで貼り合わせています。木目が45度と90度の角度で交互にずらして貼られており、チューニングピンの周囲に均一の力がかかることで究極のピンの保持を実現します。独自の設計によってチューニングピンがトルクの下でなめらかに動き、より均一な保持力が確保され、調律した状態が長持ちします。
高音域の駒は、縦方向にラミネートされた堅木メープルに堅木メープル無垢材のキャップを採用。高さが均一になるよう削られたあとに黒鉛でコーティングし、手作業で穴開け、駒欠きをし、各弦の角度を正確に調整することで、駒割れを防ぐ設計となっています。
ピアノの内部の弦には、常時最大20トンもの張力がかかっています。この極めて大きな負荷を支え、ピアノの寿命を通して強度と安定性を保つのが鋳鉄プレートの役割です。スタインウェイ&サンズは、独自の高品質な鋳型を使用し、弦の張力を支えて振動を軽減し、音の響きを際立たせています。この部品はスタインウェイピアノの構造に欠かせないため、スタインウェイ&サンズは独自の鋳造所を所有し、仕様に忠実な鋳鉄プレートを生産しています。プレートは頑強なねずみ鋳鉄製。CNC加工および表面処理された後、ブロンズ色に塗装されます。