【オーナーインタビュー】
藤野英人様
withコロナ時代の生活スタイルを、
スタインウェイとともに
レオス・キャピタルワークス株式会社の代表で、著名なファンドマージャーの藤野英人様。東京と逗子のご自宅それぞれでスタインウェイピアノを愛用され、アマチュアピアニストとしても活躍されています。
コロナ禍を期に逗子をメインにした生活に切り替えられ、多忙な日々の中にも、家族や自然と触れ合う時間を大切にするライフスタイルを実践されている様子を、スタインウェイへの想いとあわせて伺いました。
新たなライフスタイルへのシフト
コロナをきっかけに社会全体で新しい生活スタイルの模索が始まりましたが、実は僕は3~4年前から、これからは多拠点生活が普通になる時代が来ると考えていました。また、コロナとは関係なく、1年程前から在宅ワークができるような社内の仕組みを準備していました。自分を含めて全員がなるべく通勤ラッシュから解放され、またライフステージの変化によって離職せざるを得ない社員をなくしたいとの思いからです。テクノロジーによって時間と空間の問題を解決できたら、もっと自由に働けるはずです。
実際同じ空間にいる必要性は、触れ合うとか匂いを嗅ぐとかそういうことにあるわけですが、会社ではそれらは必要ないですよね。本来触れ合うべき家族が近くにいて、それでたまに仲間とコミュニケーションする、そんな在り方が理想ではないでしょうか。コロナをきっかけにして、これまで社会のなかに潜在的にあった「本当に必要なもの」「必要でないもの」があぶり出されたといっても良いかもしれません。
東京と逗子と2つある自宅のうち東京をメインに暮らしてきましたが、4月になって緊急事態宣言が出され、長くステイホームすることになるのであれば、やはり自然に近いところが良いと思い逗子に生活の拠点を移すことにしたのです。
逗子の家を買ったのは数年前で、元々自然に興味があるタイプではなかったのですが、スノーピークというキャンプ関連の会社に投資をすることになった縁で、キャンプをしながら将来の経営計画を議論する機会があり、自然の中で深く眠り鳥の声とともに自然に目覚めることの絶大な効果を体感しました。以来、自然に近い環境が人生には必要だと思うようになり、東京以外の拠点を手に入れた経緯があります。
コロナで家に根ざした生活になるのであればと、家庭菜園を始めて今では2匹の犬と暮らしています。withコロナは一種の籠城戦ですが、おかげで非常に快適な籠城にすることができました。もちろんコロナ前と仕事量は変わらず、むしろ効率が上がった分増えているくらいですが、良い環境と妻の協力にも恵まれ、隙間時間を活かして自然と触れ合ったり、自宅でスタインウェイが日常的に弾けるという状態は、自分にとって非常に快適でしたね。
愛犬の「だんご」と「おもち」
完成したばかりの温室の前で
スタインウェイを迎え入れるまで
「好きなブランドは何ですか」というような質問をされるたびに、僕は昔からスタインウェイと答えてきました。聞き手は、エルメスとかルイ・ヴィトンとかとかフェラーリとか、そういう答えを期待している流れの中で「スタインウェイ」と言うと、びっくりされるのですが。(笑)
実は人生の目標としていた「モノ」が2つあり、1つはスタインウェイで、もう1つがポルトローナ・フラウという老舗家具メーカーのバニティフェアという一人掛けのソファでした。もちろん、日本にも海外にもいろいろ素晴らしいピアノメーカーがあるわけですが、その中でも、スタインウェイはやっぱりピアノ弾きにとって特別なピアノ。それを持てる、というところを一つ自分の目標にしてきたことがあります。一方、バニティフェアは座る人を選ぶ感じがしていて、座ってもいいと思える時期になったら迎え入れて、一緒に成長していく椅子だと。とにかくスタインウェイとバニティフェアは、どちらも以前は今の自分には早すぎる、「持っても良い」と自分に思えるようになったら買おうと思い続けていました。買う側に「準備が必要」と思わせる意味で、共通点があったように思います。
今後さらに人生をアップグレードしていくために、一緒に成長していこうと思えるようになった数年前に、スタインウェイとバニティフェアとが同時に我が家にやってきました。
2つのアイテムは両方とも東京の自宅に入れたので、当時別荘として使っていた逗子にはピアノがありませんでした。自分にとって一番良い休みの条件を考えると、のんびり過ごすこと、本を読むこと、そしてピアノを弾くこと、だったんですね。ピアノをのんびり弾けたらいいなと思うのに、休暇を過ごす逗子にはスタインウェイがなく、東京にしかないとなると、逗子には来たくなくなりそうだなと。やっぱりスタインウェイのある所に居たいと思い、逗子にもスタインウェイを迎えることにしました。
弾き手の技量に無限に応えるスタインウェイ
スタインウェイの魅力の1つは、車と違って「誰でも使えるものではない」ということだと思います。フェラーリやポルシェを皆が乗りこなせるわけではないですが、一応運転免許があれば誰でも乗ることはできますよね。だけれども、ピアノというのは、誰でもが弾けるわけではなく、何年もかけて大変なトレーニングが必要ですよね。
そういう中で、スタインウェイは、弾き手の技量にあわせて無限に開いていってくれる感じがあるんです。つまりアップサイドが無限だということ。当然、その人の技量なりに、ということになりますが、世界のトップアーティストほど突き詰める領域にいかなくても、それぞれの要求水準に合わせてどんどんピアノが開いていく感じがする。自分はまだまだだけれども、自分の性能・能力を上げていけば、それに応えくれる、そして自分の技量がピアノの能力を超えることはない、というのは本当にすごいなと。その無限さがスタインウェイの好きなところですね。
そして、東京と逗子とでモデルは同じですが、スタインウェイは1台1台に個性があるので、2台それぞれ、鍵盤の重さや残響、反応速度、音色の深みとか響きが少しずつ異なります。異なる2台を日常的に弾けることは、演奏の本番にも良い影響があると思っています。ピアノ演奏の本番では基本的には会場にあるピアノで表現しなければならず、日常的に異なるピアノに対応できるよう慣らしができるのは、2台持ってみて気づいた良い点ですね。コンクールや発表の場の本番では、最終的にはスタインウェイを弾く機会が自然と多くなります。そうしたときに、日常的にスタインウェイを弾いていることはとても強みになりますね。
家族としてのスタインウェイと、今後の目標
僕は、ちょっと変な話ですが、モノの想いが聞こえるというか、モノと会話する感覚があるんです。さらに、モノに性別を感じたりします。ちなみに我が家の2台は両方とも女の子なんですけれど、東京のB-211は「姉」キャラで、逗子のB-211は「妹」キャラという感じがすごくするんですよね。
「姉」は誇りと威厳と、でも少し保守的なところがある。「妹」の方はちょっと自由で強気で。というような風に、弾いていても日々感じますね。
東京のB-211は、プロのピアニストに弾きにきてもらったりしています。すると、ピアノが喜んでいる、性能を出し切れていると感じます。今後は彼女たち(笑)の性能を引き出してあげるためにも、自分が弾くだけではなく、2台ともに、プロからアマチュアまで幅広い層の人に弾いてもらうような機会が作れたらと思うので、コロナが収束したら少人数のサロンコンサートを開きたいと考えています。
2019年12月に全国で行われたひふみアニュアルミーティング(年次運用報告会)の福岡会場では、会場となったホール所有のスタインウェイピアノで、昼休みにミニコンサートを開いて演奏。来場のお客様からは「運用報告会でスタインウェイを演奏するファンドマネージャーは、世界でも藤野さんお一人ではないでしょうか」と喜びのお声が寄せられたそうです。 |