Note by Note
The Making of Steinway L1037
2009年, 1hour 20min
その道を極めた熟練の職人によって手作業で製造されるスタインウェイ ピアノは、それを弾きこなす一流のピアニストたちと同じように個性に溢れています。大量生産のこの時代、熟練の職人、才能ある調律師、徹底した手作業から作られる、真のクラフトマンシップが宿るものづくりは、ますます稀少になっています。
Ben Nilesが制作した長編ドキュメンタリー"Note by Note"は、アラスカの森で木材が切り出されてからコンサートホールに納められるまで、ある1台のピアノを制作現場で追い続けた約12か月の記録です。
12months, 12000parts
無数の緻密な作業
ピアノが完成するまでの過程は想像以上に複雑です。スタインウェイの工場では、1〜2年にわたる木材の乾燥に加えて、熟練の職人によって12ヶ月以上の手作業が、12,000点以上の部品を用いて、緻密な設計図のもとで進行します。"Note by Note"はスタインウェイの工場のあらゆる製造工程に密着し、ミリ単位でものづくりに携わる職人のプライドを丁寧に描写しています。
それはピアノ職人の技術を称えるだけでなく、誇り高くものづくりに傾倒する数少ないクラフトマンによる、美しい仕事の尊さを再認させてくれます。すなわち、このドキュメンタリーは職人技が欠かせない手工品を支える、影に隠れた英雄たちへの讃歌のような作品です。
ピアノが人の手で作られ、自然の素材から生まれた楽器とアーティストが対話することで感動を生み出すことが、いかに素晴らしいものであるかを思い起こさせてくれます。
本編ではエレーヌ・グリモー、ピエール=ロラン・エマール、ラン・ラン、ハリー・コニック・ジュニア、ハンク・ジョーンズ、マーカス・ロバーツといった有名ピアニストによる演奏や証言も、カメラに収められています。
10年以上前に作られた映像ながら、色褪せずにピアノ作りの真髄を伝えてくれる作品をぜひお楽しみください。