藤澤孝志郎先生がピアノを始めたきかっけ
「実は5歳の時に、左腕を2回続けて激しく骨折してしまったのです。1回目は自転車から落ちて骨折。退院して間もなく、今度はかくれんぼをしていた時に窓から落ちてしまい、大手術になりました。何とかつなげて頂いたものの、末梢神経に麻痺が残り、正常な発達は難しいということになりました。左手のためのリハビリを始める中で、ピアノを本格的に始めた記憶があります。
母がピアノの先生で、熱心かつ厳しく教えてくれたおかげで、今こうして左手が動く、ということはありますね。また医師の先生方からも、『左手をいつも動かしていないとダメ』と言われていたので、自分でも心のどこかで、“左手のため”なんだと、思いながら練習していましたね。
幼い頃にハンディを背負いましたが、小学3年生の頃、学校にあったピアノで先生や友達の前で弾いたところ、ずいぶんと拍手をもらって、『あの子は左手に動かないはずなのに、ピアノが弾けるなんて!』と、一目置かれる存在になりました。それで自信がついたんですね。
(中略)今後は、僕のピアノ弾きとしてのベースとして、バッハの「インヴェンションとシンフォニア」を一生弾き続けていこうと決めています。弾く側にとっても奥が深い30曲ですし、聴く側も余計な緊張・不安が取れてリラックスできる。それをスタインウェイで弾けるのは、大きな喜びですね。」
(オーナーズマガジン:UnaCorda インタビューより)